ほくろを魅力として捉えるべきかどうか。この一見些細に思える問いが、実は恋愛における「個性」や「美の基準」といった深いテーマにつながっています。今回は、30代の男性と20代後半の女性に集まってもらい、ほくろをめぐる美意識について本音で語り合ってもらいました。
おしゃれなカフェのソファ席で、二人が向かい合います。男性が最初に話し始めました。
「俺、実はほくろフェチなんだよね。特に口元のほくろとか、目の下のほくろとか。なんか、その人だけの特別な印象を作ってくれるじゃん。完璧すぎる顔より、ほくろがあるくらいの方が親しみやすくて、魅力的だと思うんだけど」
女性は少し複雑な表情をします。
「それって、結局男性の好みでしょ? 私たち女性は、ほくろをコンプレックスに思ってる人も多いのよ。『これさえなければもっと可愛いのに』って。それを『魅力的だ』って言われても、なんか男性の視線で評価されてる気がして複雑なの」
男性は少し驚いた顔をします。
「え、でも褒めてるんだよ? 『そのほくろ可愛いね』って言われたら、嬉しいんじゃないの? 自分のコンプレックスを相手が魅力として見てくれてるって、素敵なことだと思うんだけど」
「素敵かもしれないけど」女性は慎重に言葉を選びます。「それは男性が勝手に決めた『魅力』でしょ。私たちが『これは魅力だ』って思ってないものを、『魅力的だよ』って押し付けられても困るのよ。特に、ほくろを消したいって思ってる人に、『消さない方がいい』とか言われたら、お節介だなって思っちゃう」
男性は少し考え込みます。
「でもさ、美容整形とかでほくろを取る人がいるけど、もったいないなって思うんだよね。その人らしさが消えちゃう気がして。ほくろって、その人のアイデンティティの一部じゃん」
女性は強い口調で反論します。
「アイデンティティとか大げさよ。ただのメラニン色素の集まりなのに、そこまで意味を持たせないでほしいわ。女性が自分の外見を変えたいって思った時、男性の『もったいない』って意見で躊躇させられるのって、すごく迷惑なの」
「でも」男性は少し熱くなります。「ほくろって本当に魅力的なんだよ。たとえば、口元のほくろがある女性が笑うと、そのほくろも一緒に動いて、すごく可愛いんだよね。それを消しちゃったら、その特別な可愛さがなくなっちゃう」
女性は少しため息をつきます。
「だから、それは男性の視点でしょ。女性本人がどう思ってるかが一番大事なのに、男性の『可愛い』とか『魅力的』とかいう評価を優先させようとする。それって、結局女性を男性の好みに合わせようとしてるだけじゃない」
ここで男性は、自分の経験を語り始めます。
「実はさ、以前付き合ってた彼女が、涙袋のところにほくろがあったんだよ。すごく可愛くて、俺はそのほくろが大好きだったんだけど、彼女は『泣きぼくろって呼ばれるの嫌だ』って言って、レーザーで取っちゃったんだよね。取った後の彼女を見た時、なんか別人になった気がして、すごくショックだった」
女性は少し表情を和らげます。
「それは…彼女の選択でしょ。あなたがショックを受けたのは分かるけど、彼女自身がそうしたかったんだから、尊重すべきじゃない? あなたの好みより、彼女の気持ちの方が大事よ」
男性は少し反省したような顔をします。
「確かにそうだよね。でも、正直に言うと、彼女のあのほくろが俺を惹きつけた最初のポイントだったんだよ。それがなくなって、なんか魅力が減った気がしちゃって」
「それって最低じゃない」女性は少し怒った顔をします。「ほくろがあるかないかで、人の魅力が変わるって思ってるの? 中身を見てないってことじゃない。結局、男性って外見しか見てないのね」
男性は慌てて弁解します。
「いや、そういう意味じゃないって。もちろん中身も大事だよ。でも、その人らしさって、外見にも表れるじゃん。ほくろも含めて、その人だと思ってたから、なくなると違和感があるんだよ」
「その人らしさとか言うけど」女性は冷静に反論します。「じゃあ、髪型を変えたり、メイクを変えたりするのもダメなの? 女性は日々変化してるのよ。ほくろを取ったくらいで『別人になった』とか言われたら、身動き取れないじゃない」
ここで話題は、ほくろの位置による魅力の違いに移ります。
「でもさ」男性が言います。「鎖骨のほくろとか、首の後ろのほくろとか、普段は見えないけどふとした瞬間に見える、っていうのがすごくドキッとするんだよね。それって女性も分かるんじゃない? 男性の意外な一面を見た時とか、キュンとするでしょ」
女性は少し考えます。
「それは分かるけど、でもほくろと人の魅力は別物よ。男性が『鎖骨のほくろがエロい』とか言うけど、それって結局性的な目で見てるってことでしょ。女性の身体を評価する目線が、なんか気持ち悪いの」
男性は少しムッとします。
「気持ち悪いって言われても、魅力的なものは魅力的じゃん。それって、男性の本能だと思うんだけど。女性だって、男性の筋肉とか腕とか、身体的な魅力を評価するでしょ」
「それとこれとは違うわよ」女性は強調します。「筋肉は本人が鍛えた結果だけど、ほくろは生まれつきのものでしょ。本人の努力と関係ない部分を評価されても、なんか意味がないっていうか」
男性は反論します。
「でも、生まれつきの魅力だからこそ、価値があるんじゃない? 作られた美しさじゃなくて、自然な魅力でしょ。それって、その人だけが持ってる特別なものだよ」
「特別とか言うけど」女性は少し笑います。「ほくろなんて、誰にでもあるものよ。それを『あなただけの特別な魅力』とか言われても、なんか薄っぺらいセリフだなって思っちゃう」
男性は少し傷ついた顔をします。
「薄っぺらいって…俺は本気で言ってるのに。女性って、男性の素直な気持ちをすぐに疑うよね」
ここで女性は、自分の経験を語り始めます。
「実はね、私も頬にほくろがあって、昔からすごく嫌だったの。友達に『ほくろちゃん』ってあだ名つけられたこともあって。でも、高校生の時に好きだった男の子に『そのほくろ可愛いね』って言われて、ちょっと嬉しくなったことがあるのよ」
男性は少し嬉しそうな顔をします。
「ほら、やっぱり褒められたら嬉しいんじゃん。男性の『ほくろが可愛い』って気持ちは、素直な好意なんだよ」
「でもね」女性は続けます。「その後、その男の子が別の女の子にも同じこと言ってるのを聞いて、なんだ、誰にでも言ってるんだって思ったの。『口元のほくろが可愛い』とか『目の下のほくろがいい』とか、結局男性のフェチを満たしてるだけで、私自身を見てくれてるわけじゃないんだって気づいたのよ」
男性は少し困った顔をします。
「それは、その男の子が軽率だっただけでしょ。俺みたいに、本当にその人のほくろが好きで言ってる場合もあるんだよ」
「本当かどうかって、どうやって分かるのよ」女性は聞きます。「男性の『そのほくろ可愛いね』って言葉が、本当にその人だけに向けられた言葉なのか、それとも『ほくろフェチ』っていう自分の性癖を満たしてるだけなのか。女性には判断できないわ」
男性は真剣な表情で答えます。
「それは…確かに難しいかもしれない。でも、俺は本気でその人のほくろが好きなんだよ。ほくろがあるから好きになったわけじゃなくて、好きな人のほくろがさらに魅力的に見える、っていうか」
女性は少し考えます。
「それなら分かるわ。『ほくろがあるから好き』じゃなくて、『好きな人のほくろも愛おしい』っていうのは理解できる。でも、男性の多くは前者でしょ。ほくろありきで人を見てる」
ここで、話題はほくろメイクに移ります。
「そういえばさ」男性が言います。「最近、わざとほくろを描くメイクってあるじゃん。あれってどう思う? 本物じゃないほくろって、なんか嘘っぽくない?」
女性は強く反論します。
「嘘っぽいって何よ。メイクって全部『嘘』でしょ。アイラインもリップも、全部自然な状態じゃないわ。ほくろメイクだけを『嘘』って批判するのはおかしいわよ」
男性は答えます。
「でも、ほくろって生まれつきのものだから、それを人工的に作るのって、なんか違和感があるんだよね。自然な魅力を演出するんじゃなくて、わざと作ってる感じがして」
「だから、それが何なの?」女性は少し呆れた顔をします。「女性は自分を魅力的に見せるために、色々工夫してるのよ。それを『嘘』とか『不自然』とか言われる筋合いはないわ。男性だって、髪型整えたり、服選んだりして、自分をよく見せようとしてるでしょ」
男性は少し考えます。
「確かにそうだけど…でも、ほくろフェチの俺からすると、本物のほくろの方が断然いいな。描いたほくろって、なんか計算されてる感じがして、萎えちゃう」
「萎えるって」女性は少し笑います。「別にあなたのために化粧してるわけじゃないんだから、萎えようが何しようが関係ないわよ。女性の化粧は自己満足なの。男性の評価のためじゃないのよ」
ここで、二人の会話は記憶とほくろの関係に移ります。
「でもさ」男性が言います。「ほくろって、その人を記憶に残すランドマークになるんだよ。『あの口元にほくろがある子』とか、『目の下にほくろがある人』とか、すぐに思い出せるじゃん。それって、個性として大事だと思うんだけど」
女性は答えます。
「でも、それって結局『ほくろの人』として覚えられてるってことでしょ。私は私として覚えてほしいのに、『ほくろの子』って言われたら、なんか一つの特徴に還元されてる気がして嫌なのよ」
男性は反論します。
「でも、人を記憶するってそういうものじゃない? 何か特徴的なものがあった方が覚えやすいし、それがきっかけで会話が始まることもあるじゃん。『前に会った時、その口元のほくろ印象的だったんですよ』とか」
「それセクハラじゃない」女性は少し強い口調で言います。「初対面の人に『ほくろが印象的』とか言われたら、『身体見てたんだ』って思ってちょっと怖いわよ。特に、鎖骨のほくろとか、首のほくろとか、そういう部分を覚えてたら、完全にアウトでしょ」
男性は慌てます。
「いや、そういう意味じゃなくて…顔のほくろの話だよ。鎖骨とか首とかは、さすがに言わないよ」
「でも心の中では思ってるんでしょ」女性は指摘します。「『あの人、鎖骨にほくろがあってエロかったな』とか。そういう目で見られてるって思うと、本当に不愉快なの」
男性は少し反省します。
「確かに、そういう見方は女性にとって不快かもしれない。でも、魅力的だと思うこと自体は、悪いことじゃないと思うんだけど」
「思うだけならいいわよ」女性は言います。「でも、それを口に出したり、態度に出したりするのは問題なの。女性の身体を評価する権利なんて、男性にはないんだから」
ここで、二人の議論は核心に迫ります。
「結局さ」男性が言います。「ほくろフェチの俺からすると、ほくろって本当に魅力的で、その人らしさを作るものなんだよ。それを否定されると、なんか自分の感性を否定された気分になるんだよね」
女性は静かに答えます。
「あなたの感性は否定しないわ。でも、その感性を女性に押し付けないでほしいの。『ほくろ可愛いから消さないで』とか『そのままでいて』とか、そういう言葉は、結局女性の選択の自由を奪ってるのよ」
男性は頷きます。
「確かに、女性の選択の自由は尊重すべきだよね。でも、好きな人のほくろが好きっていう気持ちを伝えることまで、ダメなの?」
女性は少し考えてから答えます。
「伝えること自体は悪くないわ。でも、伝え方が大事なのよ。『そのほくろ好きだよ』って言うのと、『そのほくろ消さないでね』って言うのは、全然違うでしょ。前者は気持ちを伝えてるだけだけど、後者は相手の行動を制限してるのよ」
男性は納得したような顔をします。
「なるほどね。確かに、相手の選択を尊重しつつ、自分の気持ちを伝えるバランスが大事だね」
女性も少し表情を和らげます。
「そうよ。男性が『ほくろが魅力的だと思う』のは自由だけど、それを女性に強要しないでほしいの。女性が自分のほくろをどう思うか、それが一番大事なんだから」
さて、この議論を客観的に見た時、どちらが正しいのでしょうか。
実は、両方とも正しい部分があります。男性の「ほくろは魅力的な個性」という見方は、多様性を認める視点として価値があります。完璧な美しさだけが魅力ではなく、個性的な特徴も魅力になり得るという考え方は、画一的な美の基準に対するカウンターとして意味があります。
一方、女性の「自分の身体は自分で決める」という主張も正当です。他者の評価や好みによって、自分の身体をどうするかを決めるべきではありません。ほくろを残すのも取るのも、本人の自由であり、他者が口を出すべきではないのです。
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