ちょっと険しい対談になりました(笑)
「亡くなった夫(妻)がまだ好きなのに、気づいたら別の人を好きになっていた」
Xで定期的に流れてくるやつ、知ってる?
「死別して1年半。好きな人ができた。でも毎朝、写真を見るたびに手が震える。私おかしいのかな」
…これ、全員が同じ痛みを抱えてるってことでしょ。マジで。
今回はそのテーマを、男女それぞれの”本音”で語り合ってもらった。 登場するのは、ライター歴10年で恋愛相談を受けてきた私(女・ナナコ)と、 死別経験者へのインタビューを重ねてきた恋愛コラムニストのケンジ(男)。
最初から言っておくけど、この対談、一回かなりギスギスした(笑)
第一ラウンド:「二股みたいで最低」問題
ナナコ(女): ねえケンジ、ぶっちゃけ聞くけど。 死別後に新しい人を好きになった女性が「最低だ」って自分を責めてるの、男側はどう思ってるの?
ケンジ(男): 正直言って、男側もめちゃくちゃ複雑だよ。 好きな女性に「前の夫がまだ好き」って言われた瞬間、喉の奥がひゅっとなる。 (俺、勝てんの…? 死んだ人に?)って頭をよぎるし。
ナナコ: でも女側の罪悪感って、男には想像できないレベルだよ。 毎朝仏壇の前に立てなくなるってどういうことか、わかる? 手を合わせようとするたびに、昨日その人のことを考えてたことが頭をよぎって、 指先がぴたっと止まる感覚。あれ、言葉にならないんだよ。
ケンジ: それはわかった。わかったけど—— 男側だって死別後に新しい恋愛をしようとしたら「まだ奥さんを引きずってる」って引かれるじゃん。 どっちに転んでも詰められるんだよ、これ。
ナナコ: あ、それはそう(笑)
ここで少し補足。
死別後の恋愛に罪悪感を持つ人は、研究的にも「愛情の深かった人ほど強く罪悪感を感じる」とされている。 グリーフ(悲嘆)心理学の基本中の基本。 つまり「罪悪感ゼロで次の恋愛に進める人」の方が、正直ちょっと怖い(笑)
でも、ここで男女の”罪悪感の形”がまったく違う、という話になった。
第二ラウンド:男の罪悪感 vs 女の罪悪感
ケンジ: 男の罪悪感ってさ、意外と「亡くなった妻への申し訳なさ」より「周囲の目」の方がでかいんだよ。 妻を亡くした男が新しい女性と付き合い始めたとき、一番キツかったのは 義母からの「あの子のこと、もう忘れたの?」って一言だったって話、何人から聞いたと思う?
ナナコ: えっ、それ義母側がひどくない?!
ケンジ: ひどいけど、現実。 男の死別後の恋愛って「亡くなった妻を捨てた男」認定されるリスクが高くて、 だから踏み出せないまま5年、10年と孤独でいる男がかなり多い。
ナナコ: うーん…。 でも女側だって義実家問題があるよ。 夫を亡くした女性が新しい男性と付き合い始めたら、夫の親族から「財産目当てだろ」みたいな目で見られるケース、山ほどある。
ケンジ: まあそれはあるな…(ぐっと黙る)
ここで一度、実例を出させてほしい。
私が実際に相談を受けたケース。 夫を亡くして2年のサクラさん(40代)が、職場の同僚に気持ちが向いていると気づいた夜、 彼女がとった行動は「そっとスマホを裏返しにした」こと。
その人のLINEを開こうとするたびに、夫の写真が待ち受けに映って。 画面を見るのが、怖かったから。
(これって二股じゃん、と思った。でも夫はもういない。でも心の中にはいる。 じゃあ私、今どこにいるんだろう)
その独白を聞いたとき、ノートを取っていた私の手が、一瞬止まった。
第三ラウンド:「忘れないと次に進めない」神話を叩き壊す
ナナコ: ここが一番大事なとこなんだけど。 「前の人を忘れないと次に進めない」って呪い、誰が最初に言い始めたの?
ケンジ: 呪い(笑)。まあでも確かに、これ完全に嘘だよな。
ナナコ: そう! 人間の愛情容量って「ひとりを愛すと別が消える」仕組みじゃないんだよ。 子どもが2人いる親が「上の子を愛したら下の子を愛せない」なんてならないでしょ。 それと同じ話。
ケンジ: まあ、それは納得。ただ男目線で言わせてもらうと—— 「亡くなった妻を心に置いたまま新しい女性と付き合う」って、新しいパートナーにとっては結構しんどいよ? 「俺、比べられてる?」って感覚、ずっとつきまとうから。
ナナコ: そこは女側も一緒。 「前の旦那さんと比べてない?」って新しい彼に聞かれた女性、めちゃくちゃいる。 でもね、比べてるんじゃなくて「別の引き出しに入ってる」だけなんだよ。 亡くなった人への愛と、今の人への感情は、そもそも別の感情なの。
ケンジ: …それ、新しいパートナーにちゃんと言葉で伝えるの難しくない?
ナナコ: 超難しい(笑)。でもそこをサボったら関係がこじれる。 「言わなくてもわかるでしょ」は死別後の恋愛では通用しないよ。
失敗事例を一つ。
死別後2年で新しい交際を始めたタカシさん(40代後半)は、 パートナーに「亡くなった妻の話は一切しない」という方針を取った。 「傷つけたくないから」という優しさから。
でも半年後、パートナーから別れを告げられた。 理由は「あなたのことが何もわからない。過去を話してくれない人と未来は作れない」。
…正直言って、これを聞いたケンジが「うっ」てなってた(笑) (俺も似たことしてた、という顔をしていた)
第四ラウンド:SNSが「死別後の恋愛」をより複雑にした件
ナナコ: ここ、令和固有の問題として絶対に外せないんだけど。 SNSのせいで「亡くなった配偶者の記録」がずっと残るじゃん。
ケンジ: あー、それはキツい話だ…。
ナナコ: 夫のInstagram、まだ生きてるんだよ。 フォロワーもいる、いいねも過去に付いてる、ストーリーのアーカイブも残ってる。 新しい人と付き合い始めた女性が、ふとした瞬間にそのアカウントを開いてしまって (やっぱり私おかしいのかな)ってなる。
ケンジ: それ、男版もある。 亡くなった妻のアカウントを新しいパートナーに「見せたくない」「でも消せない」ジレンマ。 画面の前で5分間フリーズしたって話、聞いたことある。
ナナコ: SNSって「記憶を永続させる装置」だから、死別後の恋愛に独特の難しさを生んでるよね。 昔なら写真を引き出しにしまえばよかった。 今は、タイムラインに突然現れるんだから。
ケンジ: しかもアルゴリズムが「思い出」として通知してくる(笑) 「〇年前の今日」って。タイミングが最悪すぎる。
第五ラウンド:再び好きになることへの「また失う恐怖」
ケンジ: ここが男女で一番差が出るところだと思う。 男って「また失ったら」って考えが頭をよぎった瞬間、感情をシャットダウンするタイプが多い。
ナナコ: えっ、それって逃げじゃない?
ケンジ: 逃げじゃなくて防衛! (笑) あの痛みをもう一回経験するくらいなら最初から踏み込まない、って判断を無意識にするんだよ。
ナナコ: 女側はその逆で、「また失う恐怖」があっても感情に飛び込む人の方が多い印象がある。 ただその分、相手への依存が強くなりがちで、新しいパートナーをすごく試してしまう。
ケンジ: 試すってどういうこと?
ナナコ: 「ちゃんと私を見てるか確認したくなる」やつ。 返信が遅いだけで(やっぱり消えるんじゃないか)って心臓がぎゅっとなる感覚、 死別経験のある女性から何度聞いたことか。
ケンジ: …それ、されてる男側は気づいてない場合が多いと思う。
ナナコ: だから「なんか重い」って思われて距離を置かれるパターンが起きるんだよ。 お互いの「また失う恐怖」の表れ方が真逆すぎて、すれ違う。
成功事例を出す。
ユミさん(40代前半)は夫を亡くして3年後、新しいパートナーができた時、 最初のデートで言ったらしい。
「私、たぶんたまに変なリアクションする。それは前の人のことが頭をよぎってるから。 怒ってるわけでも、あなたが嫌なわけでもない。ただ、ちょっと時間をください」
相手の男性の返事は「俺も怖い。でも怖くて動かない人生はもっと嫌だ」
…これを教えてもらった瞬間、正直言ってちょっと鼻の奥がつんとした。
第六ラウンド:では、いつ新しい恋愛に踏み出していいのか
ナナコ: これ、読者が一番知りたいところだよね。
ケンジ: で、女側の意見は?
ナナコ: 「期間じゃなくて感情の整理」だと思う。 1年でも整理ついてたら踏み出していい。 5年でも整理ついてなかったら待った方がいい。 カレンダーで決めることじゃないよ。
ケンジ: 男側からすると「義実家と子どもに話してからにしろ」って言いたい(笑) いや真面目な話、そこをすっ飛ばして進めると後で爆発するケースが多すぎる。
ナナコ: あー、それは同意。段取りを面倒くさがった瞬間に関係がぐちゃぐちゃになる。
ケンジ: あとひとつ言うと—— 「亡くなった配偶者の話を新しいパートナーにできるようになった時」が 感情の整理のひとつの目安だと思う。 話せないうちは、まだ心のフタが閉まってる状態。
ナナコ: それ、意外とシンプルでいい指標だわ。
最終ラウンド:結局、どっちが正しいのか。客観的な結論
ここまで読んでくれた人、お疲れ様でした(笑)
男と女でこんなに違う。でも実は、根っこは同じだよね、という話。
客観的な結論を出すとするなら——
どちらも正しくて、どちらも不完全。
男側が正しいのは「周囲への段取りと言語化の重要性」。 感情をシャットダウンして踏み込まないのは逃げだけど、 義実家・子ども・新しいパートナーへの誠実な説明を重視する姿勢は、関係を長続きさせる。
女側が正しいのは「感情の整理の方が期間より重要」という主張。 カレンダーで区切るのではなく、自分の心の準備を基準にする感覚は、 グリーフ心理学の研究とも一致している。
そして両者に共通する真実は、
「亡くなった配偶者への愛は消えなくていい。ただ、新しい感情のための”別の引き出し”を開ける覚悟が必要だ」
ということ。
死別後の恋愛に、完璧なタイミングなんてない。 でも、怖いまま動いた人たちの話を聞くたびに、 (怖くても、進んだほうがよかったな)と言う人の方が圧倒的に多かった。
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