週末の夜、恋愛相談バーのカウンターで。常連の健太と彩香が、今夜もグラスを傾けながら恋バナに花を咲かせている。
彩香「ねえ健太、ちょっと聞いてよ。職場に気になる人がいるんだけど、その人がね、私にだけ妙にそっけないの。他の女子とは普通に話してるのに」
健太「ああ、それ典型的な奥手男子のパターンだわ。俺もそうだったから痛いほどわかる」
彩香「え、そっけないのに好きってこと?意味わかんないんだけど」
健太「いや、マジでそうなんだよ。奥手な男ってさ、好きな子の前だと緊張しすぎて、普通に話せなくなるんだ。で、その緊張を悟られたくないから、わざと冷たくしちゃう。自己防衛ってやつ」
彩香「それ、女からしたら迷惑でしかないんだけど。普通に嫌われてるとしか思えないじゃん」
健太「だよな。でも奥手男子の立場で言わせてもらうと、好きな子の前で緊張してる姿を見せるのって、めちゃくちゃ恥ずかしいんだよ。汗かいたり、どもったり、顔赤くなったり。そういうの見られて『この人キモい』って思われるくらいなら、最初からクールなふりしてた方がマシだって思っちゃうわけ」
彩香「でもさ、そのせいで相手に好意が全く伝わらないんでしょ?本末転倒じゃない?」
健太「そうなんだよな。頭ではわかってるんだけど、感情がついてこない。好きになればなるほど、失敗が怖くなる。それが奥手男子の宿命みたいなもんだ」
彩香「じゃあ女の子はどうやってその好意を見抜けばいいの?ずっとそっけない態度されてたら、普通は諦めるか避けるかしかないじゃん」
健太「そこなんだよ。奥手男子って、言葉や態度では隠してるつもりでも、行動のどこかで絶対にボロが出るんだ。それを見抜けるかどうかがポイント」
彩香「具体的には?」
健太「まず視線。奥手男子は好きな子のこと、めっちゃ見てる。でも目が合った瞬間にサッと逸らすから、本人は見てないつもりでいる。でも実際は、相手が気づいてない時にガン見してることが多い」
彩香「ああ、それ心当たりあるかも。たまに視線感じて振り向くと、すぐ別の方向向いてることある」
健太「それそれ。あと、会話中は逆に目を見れないことが多い。緊張で。だから話してる時は目を合わせないのに、離れた場所からはよく見てるっていう矛盾が生まれる」
彩香「なるほどね。でもさ、それだけだと確信持てないよね」
健太「だな。だからもう一つ重要なのが、態度の差。好きな子にだけそっけなくて、他の人には普通っていうパターン。これ、女子からすると『私だけ嫌われてる』って思うだろうけど、実は真逆なんだよ」
彩香「それ本当に理解に苦しむわ。なんで好きな人にだけ冷たくするの?」
健太「だから、緊張してるからだって。普通に話せないんだよ、本当に。頭の中で『何話そう、何話そう』ってグルグル考えてるうちに、とりあえず無難な返事しかできなくなる。で、後から『あー、もっとちゃんと話せばよかった』って後悔するまでがセット」
彩香「女性の立場から言わせてもらうと、そういう内心の葛藤は全く見えないからね。見えるのは『私にだけ冷たい態度』だけ。それで好意があるって判断しろっていうのは、ちょっと無理があると思う」
健太「まあ確かに。だからこそ、行動を見てほしいんだよ。奥手男子って、言葉ではうまく表現できない分、行動で示そうとするから」
彩香「行動って?」
健太「例えば、困ってる時に助けてくれるとか。奥手男子って、普段はアプローチできないんだけど、好きな子がピンチの時だけ急に頼りになることがある。それが唯一、堂々と近づける口実だから」
彩香「ああ、それもわかる気がする。前に残業で大変だった時、その人がさりげなく手伝ってくれたことあった。でも終わったら何事もなかったみたいにすぐ帰っちゃって」
健太「典型的だわ。それ、好きってことだよ」
彩香「でもさ、手伝ってくれるだけで好きって判断していいの?単純に優しい人なだけかもしれないじゃん」
健太「そこは他の人への対応と比べるしかないな。他の人が困ってても同じように助けるなら、それは性格。でも君にだけ特別に動くなら、それは好意」
彩香「なるほどね。あと私が気になってるのは、LINEの対応。その人、既読つくの遅いし、返信も短いの。これって脈なし?」
健太「いや、それだけじゃ判断できない。奥手男子って、好きな子へのLINEは逆に慎重になりすぎて時間かかることあるから。『この文章で大丈夫かな』『変に思われないかな』って何度も書き直してるうちに時間が経っちゃう」
彩香「そんなに考えてるの?」
健太「考えてる。俺も昔、好きな子への返信に30分かけたことあるもん。結局送ったのは『了解』の二文字だったけど」
彩香「それ、相手からしたら30分考えたなんて全く伝わらないよね」
健太「そうなんだよ。だから返信の速さじゃなくて、内容を見てほしい。奥手男子って、好きな子には質問が多くなる傾向がある。『今日何してた?』『週末の予定は?』みたいな。相手のことを知りたいっていう気持ちが、質問という形で出てくるんだ」
彩香「確かに、その人からの質問は多い気がする。でも会話が続かないんだよね。私が答えても、『そうなんだ』で終わっちゃうことが多くて」
健太「それも奥手あるあるだな。質問はできるけど、そこから会話を広げる余裕がない。緊張で頭真っ白になってるから。でも質問してくること自体が、興味の証拠だと思っていい」
彩香「女性目線で言うと、会話が続かないのって結構しんどいんだよね。こっちばっかり頑張ってる感じがして」
健太「わかる。でも奥手男子からすると、質問を送ること自体がものすごい勇気を振り絞った結果なんだ。そこは少し汲み取ってほしいかな」
彩香「汲み取れって言われても限界があるよ。女性だって不安なんだから。相手が自分のことどう思ってるかわからない状態で、ずっと待ってるのってつらいの」
健太「それはそうだよな。じゃあ逆に聞くけど、彩香はその人のことどう思ってるの?」
彩香「正直、気になってる。でも向こうがそっけないから、自分から動くのも怖くて」
健太「そこなんだよ。奥手男子と恋愛するなら、女性側がある程度リードする覚悟が必要かもしれない。待ってても進展しないことが多いから」
彩香「それって不公平じゃない?なんで女の子ばっかりリスク取らなきゃいけないの?」
健太「不公平っていうか、そういう性質の人を好きになったってことだと思う。奥手男子は、一度心を開いたら誰よりも一途で、大切にしてくれる人が多い。でもそこに至るまでのハードルが高い。そのハードルを越える価値があるかどうかは、彩香が決めることだ」
彩香「一途っていうのは本当?」
健太「本当だと思う。だって、好きになるまでに時間かけてるし、好きになってからも慎重に距離を縮めようとしてるわけじゃん。そういう人が、軽い気持ちで付き合うとは思えない。むしろ、やっと付き合えた相手のことは、死ぬほど大事にすると思う」
彩香「なるほどね。でもさ、そもそも奥手男子って、自分から告白することあるの?」
健太「あるけど、相当時間かかる。っていうか、確信が持てるまで動けないんだよ。『この人も自分のこと好きかも』って思えて初めて、告白する勇気が出る」
彩香「じゃあ女の子側が好意のサインを出してあげないと、永遠に進まないってこと?」
健太「極端に言えばそう。だから、もし彩香がその人と付き合いたいなら、少しずつ好意を匂わせていくのがいいと思う。『話すの楽しい』とか『一緒にいると安心する』とか。そういう言葉があると、奥手男子は一気に勇気が出るから」
彩香「それって結局、女の子が全部お膳立てしなきゃいけないってこと?」
健太「お膳立てっていうか、背中を押してあげる感じかな。奥手男子は好意があっても行動に移せないだけで、気持ちは本物だから。その一歩を踏み出す手助けをしてあげると思えば」
彩香「うーん、でもそれって女性側の負担大きくない?男性ももう少し頑張ってほしいっていうのが本音なんだけど」
健太「それは正論。でも奥手な性格って、そう簡単には変えられないんだよ。もちろん本人も努力はしてると思う。でも、緊張とか不安とか、コントロールできない部分もあるわけで」
彩香「じゃあ奥手男子と付き合うメリットって何?待つ価値あるの?」
健太「さっきも言ったけど、一途なところかな。あと、表面的なコミュニケーションが苦手な分、関係が深まると本当に心を開いてくれる。そういう深い繋がりを求める人には、奥手男子は合ってると思う」
彩香「逆にデメリットは?」
健太「コミュニケーションコストが高いことかな。察してほしい、わかってほしいが通じにくいから、言葉にして伝える努力がお互いに必要になる」
彩香「なるほどね。色々聞いて、少しその人のこと理解できた気がする」
健太「で、どうする?」
彩香「うーん、もう少し様子見かな。でも、私からも少しずつ好意のサイン出してみようかな。それで向こうが動いてくれたら、本物ってことでしょ?」
健太「そうだな。頑張れ」
結論として、この対談における男女どちらの主張がより正しいかを客観的に判断すると、両者の言い分にはそれぞれ妥当性がある。男性側の「奥手男子は好意があるからこそ緊張して行動できない」という主張は、心理学的にも裏付けのある現象であり、実際に多くの男性が経験する葛藤だ。しかし女性側の「伝わらない好意では判断のしようがない」「女性ばかりが負担を負うのは不公平」という主張も、現実的な問題として無視できない。
結局のところ、恋愛は双方向のコミュニケーションで成り立つものだ。奥手男子の不器用な好意表現を理解しようとする女性の歩み寄りも大切だが、同時に奥手男子自身も、相手を不安にさせ続けることの問題に気づき、少しずつでも行動で示す努力をすべきだろう。どちらか一方だけが頑張る関係は長続きしない。お互いが相手のために一歩踏み出す勇気を持つこと、それが奥手男子との恋愛を成就させる最大の鍵なのだ。
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